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 夜國晋太郎 (個人ACE)



文責・イラスト:夜國涼華@海法よけ藩国
#09/03/30 HQ取得により評価値更新

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■コンテンツ
 ・データ
 ・設定
 ・SS
  SS1/[大争奪戦?〜男子校なのに〜]
  SS2/[それは白く輝く世界]
  SS3/[最大の魔法]

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 データ


L:夜國晋太郎 = {
 t:名称 = 夜國晋太郎(ACE)
 t:要点 = 白い学ラン,優しそうな好青年
 t:周辺環境 = シンタロ校
 t:評価 = 全能力19
 t:特殊 = {
  *夜國晋太郎のACEカテゴリ = 個人ACEとして扱う。
  *夜國晋太郎のみなし職業 = 世界移動存在,学生,ラブ使い,賢者,大魔法使いとしてみなす。
  *夜國晋太郎のみなしACE = 玖珂晋太郎として扱う。
  *夜國晋太郎は遠距離攻撃が出来、この時評価+5の修正を得る。
 }
 t:→次のアイドレス = 夜國涼華(ACE),鳥栖天心(ACE),ラブ使い(職業)


○可能特殊
*学生は戦闘時AR7以下の際に任意の評価を評価+2することができる。(燃料は消費しない)
*ラブ使いはラブ使い一人と一緒に行動する限り、すべての評価に+5の修正を与える。
*ラブ使いは中距離戦行為ができ、この時、中距離戦の攻撃判定は評価+3される。
*賢者は助言を与えて他部隊の能力を評価+1することが出来る。この助言効果は重複して効果を発揮しない。
*大魔法使いは詠唱戦行為ができ、この時、詠唱戦((知識+器用)÷2)の攻撃判定は評価+3され、燃料は必ず−1万tされる。
*大魔法使いは、魔法を使い、壁を蹴ってさらにジャンプすることができる。この場合では詠唱戦の判定でこれを行う。
*世界移動存在はレベル1の世界移動が出来る。
*世界移動存在は回避に世界移動を使える。(必ず成功する)
*世界移動存在は攻撃に世界移動を使える。(相手が移動して回避するのを防ぐ)

○評価値
体格:筋力:耐久力:外見:敏捷:器用:感覚:知識:幸運
20:20:20:20:20:20:20:20:20
#HQ取得により全能力+1
#HQ取得根拠URL:http://syaku003.appspot.com/entry/show/39044
#個人取得HQ根拠URL:http://farem.s101.xrea.com/idresswiki/index.php?00096-01%A1%A7%CC%EB%D4%A2%CE%C3%B2%DA


装甲:中距離:遠距離:詠唱戦(()内はAR7以下の場合)
20:23:25:23(25)

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 設定


名前夜國晋太郎
よみやごくしんたろう
性別男性
年齢未成年(永遠の年齢不詳)
身長178cm(派生元設定より引用)
誕生日4月18日(派生元設定より引用)
血液型B(派生元設定より引用)
カテゴリー夜國涼華個人ACE
派生元玖珂晋太郎
家族弟・光太郎
特技料理
好きな食べ物麻婆豆腐(こちら参照)
好きな本ホラー(こちら参照)
その他夜國涼華の想い人。
涼華をどう思っているのか、しっかり言質を取っていなかったが、先日もらった手紙の返事で『大好きです』と言われ、嬉しさのあまり涼華が凄い動揺を見せたことを晋太郎は多分知らない。
にこやかに微笑む、物腰が柔らかい青年だが、表情は読み取れないことが多い。

弟である光太郎が動なら、晋太郎は静のイメージ。顔や負けん気が強いところなどは、よく似ている(なぁと涼華は思っている)。
体術もそれなりに取得している様で、兄弟喧嘩をしてもそう弟には負けないようだ。
料理が得意で、小笠原で光太郎と一緒に住んでいた頃は、食事の用意をしていたようだ。好きな食べ物は麻婆豆腐。それに反して光太郎は辛いものが苦手らしい。(こちら参照)
加えて、甘いものが好きなようで、おしるこが好きという話も噂で聞く。実際、涼華が差し入れやらなんやらで持ってきた和菓子を美味しそうに食べている姿はあるのであんこなどは好きだと思われる。

魔法使いであり、海法よけ藩国内で瞑想など、修行を行っている様子。(こちら参照)
またよけ藩国内では、ネコリスと話す姿なども目撃されている。

レムーリアに存在する修道院系全寮制男子校ノライディン・シンタロ校に在学していたが、現在は退学をし、海法よけ藩国にいるようだ。(こちら参照)
学校や寮でも本を読む姿を多く見掛けていた。もともと勉強をしたくてシンタロ校へ行っていたので、勤勉であることは見てとれる。
ちなみに好きな本はホラー。それを知った涼華が『プレゼントして喜びそうな本』に一週間ほど悩んだのはここだけの話。(こちら参照)

よけ藩国はずれの森には晋太郎が魔法で設置したテーブルとイスが今も残っている。実際そこで、とあるダブルデートの際、再びお茶をしている。(設置/残存参照)

エイジャ兄弟の『漢盛り』を「いや、ぼく、弟とはキャラ違うから」で不発にしてしまう、特殊(?)を持っていたり(こちら参照)、永遠の年齢不詳(こちら参照)だったりするあたり、さすが…というべきか?
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 SS


 大争奪戦?〜男子校なのに〜  SS1


 彼は何かを待っているようだ。

 そう聞いて、あたしだといいな。

 彼女は心からそう思った。

 /*/

 柔らかい日差し。それに照らされて輝く森の木々。
 広大な敷地には、校舎・2棟の寮・教会に酒造所、2棟は存在している図書館などがあり、そこでは貴族の子息達が寮生活をしながら、勉学に励んでいた。

 全面女人禁制のそこは、修道院系全寮制男子校−ノンライディン・シンタロ校。

 そのシンタロ校に晋太郎は在籍していた。
 福岡飛熊に見初められ、小笠原の学校から転校してきた青年だ。

 素性も正体も不明な部分が多い晋太郎だったが、福岡の客人だからと持て囃された。
 しかし、それは客人としてだけではなかった。
 晋太郎の頭脳は、その歴史の中でも群を抜いて良かった。図書館の本を読みつくすほどの勤勉さ。
 何より他の学生達や教師達の目を引いたのは、その容姿と雰囲気だった。
 端正な顔立ちは美しく、色素が薄いせいか髪の毛は茶色よりまだ薄い色をしており、光を受けると綺麗に輝くようだった。
 常に表情も瞳の輝きも柔らかく、微笑みを絶やさない。
 178cmの長身だが、体格はほっそりしているものの、それが端正な顔立ちと手伝って、中性的な雰囲気を表していた。


 そんな晋太郎を好む者は多く、一部の生徒などは『玖珂様』と言って、崇める者も出るほどだった。


 その晋太郎が転校してきた冬のことだった。
 一人の少年のように小柄な生徒が転校してきた。


 小さな(といっても154cm)身長に、身に着けている制服は少し大きいのかだぼついており、その長い髪は綺麗にみつあみにしていた。
 晋太郎と同じく素性が知れないその少年は、年少や身分が低い生徒が入寮するコスケ寮にいた。

 そして、『彼』は、こともあろうにその玖珂様を「晋太郎さん」と、呼ぶのだった。

 /*/

 自室に一人、同室者がいないことをいいことに、晋太郎は普段決して見せないだろう、声を上げて笑ってしまった。
 来るのは知っていた。あの子のことだ、有言実行してくるだろう。それも判っていた。
 しかし、まさか。

「よく、男装なんてしたなぁ」

 男子校だ。彼女もそれを承知で追いかけると言っていた。普通の女の子としては無理だろうから、どうするのかと思っていたが。
 そう思いながら、昼間の鳥栖とのバトルを思い出して、つい笑ってしまう。
 小さな身体で、明らかに晋太郎よりもさらに大きい鳥栖とやりあっていた。
 小さな子猫のように、威嚇していた様は、なんとも可愛らしい。

「無茶、しないといいけど」

 そう呟くと、晋太郎は図書室から借りてきた本を勉強机に置き、静かに読書を始めた。


 そうして読書を始めてどれだけの時間が経っただろう。
 僅かに、外の廊下の空気が変わったのを、感じた。
 表情一つ変えず、読書を続ける晋太郎。
 しかし、その意識はずっと廊下へと向けていた。

 争う雰囲気。
 気配の主はきっと鳥栖と、あの子。
 晋太郎は(危ないなぁ)と、思うと小さく唱(うた)を詠(うた)った。
 そして、その唱(うた)は、寮の周囲を遊歩していた福岡に届いた。

 /*/

 晋太郎が詠う直前。
 シンタロ寮の5階廊下の窓から外に放り出される少年の姿があったのだった。

 /*/

 晋太郎争奪戦(?)は今日も続いていた。
 鳥栖天心は晋太郎に近付く少年に、苛立ちを隠せないでいた。
 この学校にはそぐわない粗暴さ。玖珂様を晋太郎さんなどと呼ぶ無礼さ。
 鳥栖としては、まったくもって不愉快だった。


 そんな鳥栖を話題に、珍しく晋太郎は福岡と談話していた。

「まったく。鳥栖の不機嫌さに笑える」
「鳥栖君、けっこう本気でやりあってるから」


 クスクス笑う晋太郎に、福岡は聞いてみた。

「ところでアレは、いったいなんだ?」
「約束したからね」
「約束?」
「うん。男子校でも、追いかけるんだって」
「しかし、あれは…」

 昨日の5階の窓から落ちてきた小さな身体を思い出し、福岡は顔をしかめた。
 鳥栖とやりあうには、少し小柄すぎやしないか、と。

「広島さんでもいれば、まだ良かったのかもしれないけどね」
「あれは、まだ当分帰ってこないだろう…」
「きっと、仲良くなるよ」

 晋太郎は、広島明乃とあの子が仲良くする様子を思い描いて、クスクスと笑うと、福岡へ優しく微笑んだ。

「とりあえず、大丈夫だよ。あの子は」
「ならいいが…」
「もうしばらく、見守っていて」

 無理なら僕と彼女の関係はそれまでなだけだよ。
 そんなことを静かにもらして、晋太郎は教室へと戻っていった。



 その頃。

「鳥栖さんなんて、馬に蹴られてしまえーー!」

 と、叫ぶ甲高い声が、校舎裏の森に響いていた。

 /*/

 数日後の深夜。
 部屋のドアから、ではなく部屋の窓からやってきた侵入者は、僅かに震えていた。
 地上5階のこの部屋。先日は、失敗して鳥栖に捕まっていた。
 いったい、どこから来たのか聞いて、さすがの晋太郎も驚いた。
 震える指が上を指す。
 指の動きと共に天井を見る晋太郎。

「上?隣の寮からうちの屋根に?」
「はい。地上から行けないなら、と思って屋上から。シーツ破ってロープ作ってそれを垂らして伝って下りてきました」
「隣といっても100mなのに」
「思惑より、なんか距離あった気がします…」

 そう言う侵入者が明らかに困惑気味な雰囲気をまとっているのに気付く。
 よく来たなぁ、と関心しながら侵入者である少年、改め男装をした涼華を見た晋太郎。
 クスリと笑った。

「帰れるのかい?」
「う…」

 僅かに、怯えがにじむ空気。

「問題は、ここから自分の部屋にどう戻るかです…」

 そういう涼華は、思いきり目をさ迷わせていた。

「だよねえ。えーと、歩く?」
「歩く?」
「二人羽織、やってみるかい?」

 冗談めかして言いう晋太郎。
 きょとん、とそんな晋太郎を見る涼華。
 そんな涼華を置いてけぼりにしてクローゼットから大きなコートを取り出し羽織ると、涼華へ向かっておいでおいでをした。
 てとてとと近付いてきた涼華をコ−トで包むと、そっと言った。

「歩調合せて、歩いていこうか」
「は、はい…」

 背中にあたる晋太郎のぬくもりに、パニック状態の涼華。
 それには気付いていたが、そっとしておいてみた。



 お疲れ様です、とにこやかに笑う晋太郎の脚が4本あって驚いた警備員。しかし、変な顔をするだけで、特に何も言わなかった。

 /*/

 待っていたよ。

 本当に来るなんて思わなかったけど。

 僕の心を少しだけ、奪っていった君を。

【終わり】
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 それは白く輝く世界 SS2


 夜國晋太郎さん。
 貴方はあたしの世界。


 そんな晋太郎さんと、共に行けたらとどれだけ想っただろう。

 だから願った。風になりたい、と。
 あの白く何ものにも染められていない、綺麗な雲に寄り添う、風になりたい。

 心から、そう想った。

 白く輝く、晋太郎さんは、あたしのただ一つの世界。


 /*/


 最初にその顔に一目惚れした。
 次に声。そして優しい笑み。
 時折、本気の時に見せる真剣な顔や、少し蔑む時の顔も綺麗で、好き。

 …さすがに晋太郎さんに面と向かっては言えないけど…


 逢えるなんて、思わなかった。
 目の前に晋太郎さんが居る事を、夢かも、と思ったこともあった。
 だから、逢えて嬉しかった。

 …そのために、浮かれすぎて、晋太郎さんを傷付けた事もあった、ごめんなさい…


 どこまでも、追いかけたくて、男装してまで男子校まで追いかけた。
 すごく必死だったの。
 晋太郎さんと離れたくなくて。


 …今思えば、あれが始まりだったんだよね…



 もう、この時には、晋太郎さんはあたしの世界だったの。


 /*/


 大好きです、愛しています。
 あたしの思いはいつも貴方のお傍にあります。

 この想いが少しでも晋太郎さんを守ってくださいますように。

 今日も、貴方を想って。


 /*/


 いつもの、晋太郎にだけ伝えたい、その言葉を丁寧に、想いを込めて書くといつものように、封筒に入れた。

 この想い、今日も貴方に届きますように、と。


 /*/


 空を見上げて、想った。
 そしてぽつり、と涼華は呟いた。

「風になりたいなぁ…」
「は?」

 その呟きを聞いた同級生は、はい?っと言って聞きなおした。
 涼華はというと、ぼーっと青く広がる空を見上げていた。

「風になりたいの…あの雲に寄り添って一緒にいける、風になりたいの…」
「はぁ…」

 突拍子もない涼華の呟きに、ただ呆気に取られる同級生の少女。
 二人はよけ藩国内にある、女子校の校舎敷地から下校のため出ようとしているところだった。
 木造校舎を出て、校門へと向かうため、中庭を抜けようとしていたところだった。

 本日の授業は午前中で終わりだったため、まだ陽は高く空は綺麗な青と静かな風に身をまかす雲の白でおおわれていた。
 その空を見上げて、言い出す涼華。

 そういえば…と思い出した同級生は、疑問を涼華に投げかけた。

「すずちゃんさー、この間、少しの間休学してたけど、どったの?」
「え゛!?」

 きょどる涼華。

「なんか病気でもしちゃった?」
「ううん…えと…ちょっと…ね」
「ふぅん、あんま不良さんしてると、お兄様に怒られちゃうよ?」
「不良は、してないもん…」

 男子校に行ってただけ、と心で呟きながら汗を拭う涼華。
 そんな二人が校門を出ようとしていたところだった。

「し、晋太郎さん!」
「ん?」

 とたん、パァっと輝くような笑顔を見せた涼華に驚く少女。
 彼女が知る限りで、今まで涼華がこのような笑顔を見せたことなどない。
 いったい、涼華にこのような笑顔をさせている存在とは?
 気になったので涼華の目線の先を追った先、そこにいたのは…


 そこには涼華の声に気付き、立ち止まった青年が、優しい笑みでこちらを見ていた。

 太陽に照らされた髪の毛は金髪ではないが綺麗に輝いており、見るからに長身でしなやかな身体。
 何より、その端正に整った中世的で綺麗な顔に、驚いた。

(そうそういないよ、あんな綺麗なお兄さん)

 驚きを隠さず、涼華へと向き直る。

「すずちゃんの、知り合い?」
「うんとね、えとね…」

 照れながら話す涼華に合点がいった少女は、ああ、と思った。

「彼氏か!」
「はわわわわ」
「そかそか、なんて美人連れてくるんだ、こいつ!」
「こ、今度、きちんと紹介する…」

 最後の方は恥ずかしさに死にそうな声で言う涼華。
 うんうん、と言いながら、青年の元へ早く行けと、と涼華をせっつくと少女は自然に漏れた笑みのまま帰路に着いた。

 /*/

 同級生の少女に背中を押され、晋太郎の元へと急ぐ涼華。

「晋太郎さん!」
「帰り?」
「は、はい…晋太郎さんは?」
「買い物だよ」

 そう言う晋太郎の手には、紙袋が抱えられている。
 涼華は、うずうずしながら悩んでいた。

 そんな涼華の雰囲気に「?」と不思議に思いながら見詰める晋太郎。
 涼華は、悩んで悩んで、意を決してみる。

「あ、あの…その…」
「うん?」
「お、お茶…しに行っても、いい、ですか?」

 あ、息止まりそう。

 涼華の雰囲気に、つい微笑んでしまいながら、「うん、お茶しよ?」と優しく言った。
 晋太郎の返事に、真っ赤だった顔を笑顔にした涼華は、ティータイムの約束をすると、一度その場で別れて帰宅した。


 /*/


 カチャリ、と食器の音が鳴る。
 手馴れた手つきで、晋太郎の前にお茶を出す涼華。

 今日のお茶は、晋太郎が和菓子を作った、と聞いていたので日本茶のブレンドにした。

「えと、初恋ってお名前のブレンドのお茶なんです」
「可愛い名前だね」

 にっこり微笑んで、そのお茶の風味を楽しむ晋太郎。
 涼華はそれを見て、えへー、と微笑んでいた。


 一度帰宅した涼華はいつものドレスに着替えると、『初恋』という日本茶とハーブティをブレンドしたお茶の葉を手に、晋太郎の家へと来ていた。
 台所を借りてお茶を淹れる。
 涼華がお茶を淹れている間に、晋太郎は作った和菓子を皿に盛り、二人は談笑しながら二人でティータイムの準備をした。

 お茶を淹れながら、一緒に台所に立つ晋太郎を見て、ドキドキが止まらなかった涼華。
 ふと目に入った指が細く白くて綺麗で、動きもしなやかで。

(指も、綺麗…)

 そう思って、見惚れてしまっていた。
 そしてそれは、テーブルに付いてからもだった。
 晋太郎をじっと見る涼華。

「そういえば…」
「は、はいっ」
「手紙、届いたよ。ありがとう」
「あ、良かった…無事届いたですね」

 明らかな安心した顔をする涼華。個人的に郵便事故が続いていたために、かなり心配していたのだ。
 涼華の視線に気付いて、微笑んで言う晋太郎は、不器用に、でも素直にはにかむ涼華にそっと手を伸ばした。
 きょとん、と晋太郎を見詰める涼華は、その先ほどまで見詰めていた指が自分へと近付いてきていて、驚く。

 涼華のウェーブがかかった長い髪へと手を伸ばすと、一つまみ、触る。

 涼華は心臓を早鐘のようにドキドキさせながら、晋太郎の行動を見守っていた。
 正確には、ドキドキしすぎて固まっていただけ、だが。

 そのつまんだ一房の髪の毛を、そっと自分のほうへ引き寄せ、優しくキスをする。


 晋太郎のそのあまりに様になる仕草に、涼華は嬉しさと恥ずかしさとで卒倒しそうになる、というか卒倒した。

「大丈夫?」
「だだ、だい、じょうぶ、ですっ」

 クスクス笑いながら、でも涼華の髪の毛はそのまま、つまんだまま微笑みを絶やさず、涼華を見詰める晋太郎。
 真っ赤になっている涼華を見ると、つい虐めたくなるのはなぜだろう。



 ほっとけなくなる。
 一途で、真っ直ぐで、儚げで、でも強くて。

 知っているだろうか。気付いているだろうか。
 だから自分は、退学してここにいることを。

 詳しいことをわざわざ言うつもりはないけど…
 手紙に、探るようなことが書いてあって、だからきっと気付いていると思うけど。


 確実に、自分の心を少しずつ占めていく、涼華の想い。


 もっと、甘えてくれたらいいのに、と晋太郎は想った。
 そうしたら、もっと、優しくするのに。

 そう思いながら、少し意地悪そうに笑って髪の毛から手を離した。

「お茶のおかわり、もらおうかな?」
「は、はい!」

 えへ、と嬉しそうにお茶を淹れる涼華の、その気持ちが伝わって晋太郎も嬉しくなった。

 今は、これくらいが限度なのかもしれない。
 素直に甘えてくるには、まだまだだなぁ、と一人ごちた。


 /*/


 涼華は時折、不安になる。
 いつかこの世界から嫌われたらどうしようと。

 だから、いつも不安げなのだ。

 この先の未来、涼華にとっての世界に、いつか優しく包まれたら、それだけでいいな、と想いながら晋太郎との貴重な時間を過ごしていった。


 翌日、登校すると、同級生達からの「彼氏紹介しろ」攻撃を受けることとも知らずに。

【終わり】
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 最大の魔法 SS3


 晋太郎さん、と呼びかける声は、少し儚げで、頼りない。
 声の主が不安を持っている証拠だった。

 その声を聞く夜國晋太郎は、その声に纏われた想いの方を見た。
 晋太郎との会話はそういうものだった。


 晋太郎にとって『言葉』に意味はない。
 言葉とは無縁で、たぶん言霊も見えていない。

 以前、不安げな声の主−夜國涼華にそれを教えてくれたのは、晋太郎の弟・光太郎だった。



 涼華の頼りなげな声、というよりその声に纏われた想いの色がとても不安げで。
 だから晋太郎は、それを感じ取りながら応えた。
 優しく、涼華の不安をただ拭うために微笑みながら。

「泣かないで、大丈夫だよ」

 そう言って、涼華の涙を拭ったのを覚えている。
 そして、晋太郎はこの騒ぎの鎮圧に乗り出し、凶弾に倒れた。

 /*/

 どれほど眠っていたのだろう。
 ここはどこだろう。

 白い部屋、窓の外には森の木々が見えた。

 晋太郎が目覚めると、枕元に手紙とまだ温もりが残る水筒が置いてあった。

 少し上体を起こすと、枕元に置かれた可愛らしい封筒をそっと手に取る晋太郎。
 それは涼華からの手紙だった。


 身体はつらく無いですか?
 逢いにいけなくてごめんなさい。
 暴徒鎮圧、ありがとうございました。


 そんなことが、書かれていた。
 そして−…

”手紙に水筒を添えておきます。”
”ロイヤルミルクティーを作りました。温かい内にお飲みくださいまし。”

 手紙と一緒に置かれていた水筒を開けると、柔らかな紅茶の匂いがふわりと風に混じった。


 そしてそこに混じる想いを感じ取って、紅茶を飲む前に、少しだけ心が満たされた。

 /*/

 涼華の書く手紙には、言葉と共に想いが附随していた。
 涼華が淹れるお茶には、いつもその中に温かさと一緒に、想いも入れられているから、飲むとお茶の味と共にその想いの味を感じて、ふと笑みをもらしてしまう。

 そうやって、涼華はちょっとずつ、晋太郎への想いは伝えていった。
 不器用ながらも、一途な想いは、少しずつだが晋太郎へ伝わっていた。
 その不器用さも一緒に。



 言葉など、いくらでも飾れる。
 だから意味を持たない。

 嘘の言葉も過剰に飾った言葉も、そこになんら意味はない。
 それを晋太郎は知っている。
 だから彼は言葉など見なかった。
 言葉が嘘を持つなら、言霊も意味を成さないだろう。
 だから彼はいつも、想い、を見た。
 言霊が見えないのも、言葉の意味を見るでなく想いを見ることで、言霊を見ようとしなかったからかもしれない。

 想いを見たから、どれだけ言葉を紡いでも、裏に疾しさや打算などが隠されていれば、それしか晋太郎には見えなかった。
 晋太郎はそうやって、本音を知り、この世界を渡ってきたのだ。


 だから…晋太郎は涼華も、他の人と同じだと思った。
 ただ、自分に近付いてきた、その他と同じだ、と。

 違うと感じたのはいつだろう。
 手紙に、お茶に、彼女の想いを感じ取り始めたのはいつからだったろう。


 その想いを晋太郎が受け取った時、微笑みを漏らさずにはいられなかった。
 あまりの不器用さに、一途さに、必死さに。

 そこに、晋太郎の変化があったのかもしれない。
 いつものように届く手紙。
 不器用で一途な想いがこもった手紙に、晋太郎はいつものように返事を書いた。

 そしてその言葉は、素直に出てきたものだった。
 言霊は見えなくても、晋太郎は知っている。
 紡ぐ言葉は声は絶対のもの。
 嘘偽りを紡ぐのはその身を滅ぼすことを。
 だから、この言葉は嘘偽ることのない、晋太郎の『想い』だった。

 /*/

 それを見た涼華は、顔を真っ赤にして、キョドって、喜んだ。
 その日から1ヶ月くらい、頭が常夏だった。

 返事の最後。一言、告げられた、それは涼華への想い。




”大好きです”

【END】

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